院長ブログ
Vol.53 頭痛と湿疹と口内炎にイライラ、増えてます
2023年05月21日
「熱」の計算式
(問題)
晴れた強い日差しの日に、電車が遅延して、急いで待ち合わせ場所(日陰が無い場所)に着いたものの、待ち合わせるも相手が来ない状況を式で表し、その熱に対する体の反応を複数ケース記述せよ。
(解答)
焦る気持ち(熱)+走って熱くなる(熱)+直射日光(熱)+イライラの熱=頭痛
①頭痛+鼻出血=消耗による倦怠感(頭痛消失)
②頭痛+アイス=口内炎+下痢(頭痛消失)
③頭痛+我慢=微熱、湿疹、ニキビ、不眠、怒り
(解説)
不思議な計算式ですね。心の熱と体の熱、環境から与えられる物理的な熱、環境から与えられる内面的な熱(怒りや不安、苛立ちの感情)は、相互に転換しあい、また足し算されます。漢方医学では、心身両面の「熱」は同じものとして扱います。ゆえに、熱くて蒸し蒸しするときには、イライラしますし、月経前の高温期も不安や怒りが強くなります。また、熱を保つにはエネルギーが必要ですよね。したがって、熱が一定期間、身体の中で暴れていると身心が消耗します。
一方、何らかの形で熱を逃がすことができれば、心身両面にその効果は波及します。カッカしている人に「頭を冷やせ!」と水を掛けたりしますが、冷や水を掛けると、ハッとして鎮まりますね。ただし、沸騰中の人に掛ける水が少なすぎると、一気に水蒸気爆発しますから注意が必要です。水を掛けるなら充分量かける必要があります。(笑)
①の式にあるように、鼻出血は体の鬱熱排熱弁のようなものです。興奮した人が鼻血を出すのは、その熱を逃がすためです。鼻血が出て、血圧が下がり、興奮が治まる訳です。しかし、血を出す分だけ身体は消耗して疲れます。
②の式にはアイスが登場しました。アイスを食べても、一瞬冷えて、頭痛は軽くなりますが、一方で胃腸が冷えて動きが悪くなり、口内炎と下痢もしくは腹痛といった結果に終わります。物理的に上手に冷やすならば、首筋をぬれタオルや氷で冷やす方が副作用が少ないですね。
一方、出口がなく、熱がぐるぐる体内を循環すると、③の式にあるように微熱となったり、口内炎が出来たり、下痢をしたり、水疱性の湿疹になったり、イライラが続いて眠れなくなったりしますが、上手に排熱ができれば症状は落ち着きます。以前のブログでも触れましたが、リストカットも鬱屈した感情が熱を持っている時にそれを外に逃がそうとする行為です。血を出すことによって気分が落ち着きます。でも、この理屈を知っていたならば、他の方法で冷ますことも可能ということになりますね。
スケジュールは余裕をもって
令和5年5月20日現在、今年は少々早く鬱熱の症状を出す人が増加中です。緊急避難的に白虎加人参湯や黄連解毒湯、釣藤散、七物降下湯を処方する人がここ2週間ほど増えています。普段、長風呂の人は、少し早めにお風呂を切り上げる、口内炎になりそうな予感がしたら、夕食をスープだけにして少なく食べて切り上げ、サッサと寝る。ギリギリのスケジュールを組んであわあわする事ないように、余裕のあるスケジュールを組む。酒を控える(酒は湿熱のかたまり)。などの対処をして熱による不調から身を守りましょう。