Vol.43 体と心と花粉症のお話|泉州統合クリニック|高石市 漢方内科・婦人科・心療内科・精神科・内科・専門外来(ヨガ・食養生・鍼灸・アーユルヴェーダ)

院長ブログ

Vol.43 体と心と花粉症のお話

2023年03月06日

はじめに

花粉症は、「スギやヒノキの花粉に対するアレルギー反応で、アレルギー反応を止めれば症状は良くなる」、この事実に間違いはありません。ですので、手っ取り早く症状だけ止まればそれでいい、と言う人はこの後を読まなくても良いです。でも、そもそもなんで花粉やホコリに体が過剰反応する必要があるのだろう?ステロイド点鼻と抗アレルギー剤で確かに症状は取れるけれども、なにか釈然としない、そのような方は、今回の記事を読み進めて下さいね。

登山道は何本もある

説明を始める前に、ひとつお断りしておきます。ある現象を理解する上で、考え方は何通りもあると私は考えています。あたかもそれは、山に登る時に登山道が複数在るかのようです。どれが正しいではなく、どれもある意味正しいと思います。私が述べる花粉症の考え方もその登山道の一つで、少なくともこの道を通ることで花粉症の山が登れることを私が確認したので今回ご紹介する、というものです。私はこちらの道から花粉症の山を登る、という人も居るでしょう。それはそれで良いのです。でも、まだ道を見付けていない人は、一度私の登山道から登ってみるのも良いと思いますよ。確実に症状は楽になりますから。

熱い花粉症 体=消耗、心=騒がしい

夜も寝ないで頑張りすぎてしまった人、食べちゃった、飲み過ぎちゃった人が行き着いた花粉症

伝統医学の視点から考える花粉症には種類があって、大きく分けると冷えた鼻炎と熱を持つ鼻炎の二通りがあります。今回のお話は、夜も寝ないで頑張りすぎてしまった人、食べちゃった、飲み過ぎちゃった人の花粉症、すなわち後者の熱を持つ鼻炎の方です。消化力が落ちていて、冷えてる、元気出ない人の花粉症は前者の冷えた花粉症で、これについては院長ブログVol.17( https://www.longwood-senshu-cl.com/blog/entry244.html) 、拙書「体と心が整う365日の養生のすすめ」p76をお読み下さいませ。

以前から、花粉症が悪化する3つの要因として「寝不足」「食べ過ぎ」「飲み過ぎ」と診療のたびにお話ししていました。この3つの要因が重なるのが「お花見」ですよね、って。

その後、この3つの要因が重なる人達の間に共通する心側の要因として「落ち着きのなさ」があることに気が付きました。この「落ち着きのなさ」というのは、良い意味でも悪い意味でも落ち着かないというものです。不安や心配事で頭がいっぱいで落ち着かないというネガティブなものから、やる気がいっぱい、正義感に満ち、行動力に溢れ、複数の事を同時進行で進めていくようなハイテンションな状態もやはり、心が騒がしくなるものです。東洋的なものの考え方からすると、ネガティブ側にもポジティブ側にも極端に振れると、それは同じ性質を持つと考えます。この心のアクセルが踏まれて、ぐるぐる回る状態は、エンジンで言うと空吹かしに相当します。車は前に進まないのに、エンジンは過熱し、同時に燃料もどんどん減っていきます。このような身心の状態を漢方では「陰虚火旺」という言葉で表現します。(ざっくりとした説明です。あしからず)この時、身体の中には上昇気流が生じていて、水分は上半身に集まって行きます。そして、そのどん詰まりの頭部には水が溜まって行って浮腫なり、最後に鼻の粘膜がその圧力に負けて解放されて鼻水となります。この時、圧力が高まっている(頭部で押しくらまんじゅうをしているイメージ)ので、鼻粘膜は熱をもち、炎症の様相を呈して来ます。鼻水はだらだら出るのではなくて、間歇的に出ることになります。

さて、このような心側の要因があるときに、体側が消耗しているとどうなるでしょうか。上昇した水を廻らせる事が出来ず、開いた粘膜の穴の開閉もスムーズにする事が出来ない上に、過剰に食べて鬱熱し更に加熱を悪化させ、過剰に飲んで水が蓄積していてさらに頭部の水余り状態を悪化させる訳です。

体験するのがいちばん!ともかく一度、試してみましょう

一見、荒唐無稽に聞こえるかも知れませんが、ここで書いたようなイメージでもって身心を一度、眺めてみて下さい。そして観察に基づいて、自身の行動を変えてみて下さい。あら不思議、花粉症は軽くなりますから。お試し頂きたいと思います。

 

 

 

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