院長ブログ
Vol.42 身心の電力需給のお話
2023年03月04日
電力需給がひっ迫!! あなたの電気使用率は何パーセント?
私達は、毎日寝て、目覚め、行動し、食事をして排泄、何かを見て判断し、何かを予想し、日々を過ごしています。このすべての活動には「エネルギ−」が必要ですね。「エネルギー」を失えば、私達は思考する事はおろか、自分自身の体を温めることも出来ません。診療をしていると、「パニック」、「不安症」、「欝症状」「物忘れ」「集中力低下」から、「冷え症」、「全身倦怠」、「眩暈」、「ふらつき」、「動悸」等々の症状の方が多く来院されます。これらの方々の症状は、一見異なって見えますが、実は共通して見られる特徴があります。それは「身心の電力需要が高まっていて、電力の供給がひっ迫している」という事です。下に示した図を見て下さい。とある人の総エネルギー量(電力と例えます)1〜100%と示してありますが、そのエネルギーを私達は普段、仕事に20%、日常の動作(体温を上げる、食べる、消化する、歩く、家事をするなど)に20%、天候が変化する気圧変動に対応する為に10%、冬など気温が下がれば、追加で身体を温めるのに、夏に気温が上がれば、発汗して体温を下げたりするのに、10%、先の事を予想したり、心配事を抱え込んでいたりすると、思考を働かせるために20%と言った具合です。ここまでで80%の電力を使いましたね。女性であれば、ここに排卵後の体温上昇があると(高温期)その分だけエネルギーを必要としますし、月経によって血を失うと今度は新たに血を生産しなくてはなりませんから、その分だけ余分にエネルギーを必要としますね。仮にこれを15%としましょう。そうすると、残りの余剰電力は5%となり、需給がひっ迫することになります。このひっ迫感が体側から発せられると「漠然とした不安」が沸き起こります。そこに更なる負荷がかかりそうな予想が立つと、不安回路(精神、身体活動をシャットダウンさせる機能)にスイッチがはいります。この段階で、あ、体がいっぱいいっぱいになっているのだな、ちょっとペースをゆるめよう、今日は早く寝よう、この仕事は明日に回そう、洗い物は明日にしよう、と行動を変化させてエネルギーを節約すれば、パニックは回避されますが、ここで、どうして良いかわからなくなると、更に不安がショートを起こしてしまって、過呼吸が起きる、不安で手がしびれる、肩が張って、背中が固まるなどの身体症状となり、シャットダウンとなります。そうなんです、パニック症状は、一種、ブレーカーの役割をしていて、そのお陰で体が壊れるのを回避しているのですね。自分自身の身体の状態を観察しながらこの図のイメージを持っていたら、ある程度の予測が立つようになり、少し体が重くなってきても、慌てることがなくなります。まずは、この身体の電力使用図イメージを自分の中に作って下さい。
変化する発電量
さて、身体エネルギーの発電量とその使用について説明しましたが、今度は、その発電量が変化することについてお話ししましょう。寝不足が続く、酒を飲む、過食する、頭を使いすぎるなど、消耗が増えたり、体を使った運動をしないことによる体力が低下することで、発電量は低下します。(更に詳しく言えば、頭を使いすぎると胃腸の機能を低下させて消化力が落ちてしまって、更にエネルギーが減る、強い感情を抑圧すると体の中の廻りが悪くなって、余分に消耗するなどの事はありますが、、)総発電量が低下すれば、当然、電気需給はますますひっ迫することは誰の目にも明らかですよね。風邪を引いた後にやる気がでない。寝不足の翌日の通勤電車でパニックを起こした、、などの事に繫がる訳です。月経前に不安やイライラが増える(PMS)のもエネルギーがひっ迫するからだと考えられますから、冷え症を改善させることで(冷え症が改善すると言う事は、消化力、体力が上がって身体が温かくなると言う事を意味して居るので)症状が緩和されるのは当然の結果と言えるでしょう。
体力の消耗についての説明をしましたが、逆に体力を向上させるとどうなるか?それは総発電量が増える事を意味しますから、すべてに対して余裕が出るということになりますよね。体力向上の方法はなにか、それは「養生」という事になるわけです。養生については、過去のブログを参照して下さいね。
平均人間の罠
ここまで、個人の視点で説明して来ましたが、最後に、社会との関わりの中での電力需給についてお話ししておきます。日本国内でも、東北電、東電、中部電、関電、等々電力会社によって発電能力が違うのはご存じでしょう。人間だって同じ。人それぞれ発電量、エネルギー量は異なります。しかし、社会はそれらを「平均」し、「平均」に対してあなたは足りない、頑張っている、素晴らしい、と評価をつけ、「平均」以上であることを暗に迫ってきます。余裕があるCさんは良いでしょうが、平均を下回るBさんはいつも劣等感を持ち、自己否定をしなくてはならず、ギリギリのAさんはいつも青息吐息となります。でも、本当は「平均」という人はこの世には存在しません。それぞれの発電量に見あった生き方を選択して良いし、選択をするべきなのです。これからの世の中が「平均」を押しつけない、また、それぞれの人が一律に無理して平均以上を目指す必要なく、安心して自分自身で居られる世の中になって欲しいと願いながら、日々診療をしております。