院長ブログ
Vol.40 「充血から始まる不都合な症状群」(頭痛、高血圧、鼻炎、鼻茸〜痔に至るまで)
2023年02月23日
圧力がかかった袋
伝統医学の身体観を拡張すると、頭に血が上って頭痛、高血圧、鼻粘膜に血が集まって鼻炎、鼻出血、鼻茸、肩に血が集まって五十肩、腕の痺れ、肛門に血が集まって痔となる、と言えます。これら症状は違ってもその本質は同じ、身体という袋をギュッと圧迫したとき、身体の上か下にその圧が集まったとき、その部位に充血が起こって、異変が起きるのですね。高い圧を受けた各細胞は、最初は耐えて居ますが、次第に水がしみだし、構造が破綻して炎症を起こします。引き起こされた炎症は次の炎症を引き起こし、その部位に水を引き寄せて組織は膨張し、それが鼻で起きたなら、鼻水と鼻茸として成長していくわけですね。いずれも身心のアクセル(Vol.39参照https://www.longwood-senshu-cl.com/blog/entry495.html)を踏み込んだ事から始まっています。この各症状は、最初の袋の例えで言うならば、袋に圧が加わったことで、発生している訳ですから、網で焼いている餅のようにぷーっと腫れてきたところに手当てを施しても、良くなることはありません。また隣からぷーっと腫れてきます。その繰り返し。袋の圧力を減じなければ、餅で言うなら火を止めなければ、この変化を止めることはできません。現代医療で、炎症が起きている箇所に対してステロイド等の治療薬をふりかけても根本的には良くならない理由はまさに、ここにあります。(全身的に抗炎症の薬を内服投与しても、それは該当箇所の炎症を止めたいという視点でなされる行為なので、局所の手当てをしているのと本質的には変わりません。そもそもの炎症に至る原因はステロイドを投与しても消える事はありません。)
急性病と慢性不具合を混同してはいけません
怪我やウイルス感染のような急性変化に対する手当てと袋の圧力の理屈によって引き起こされる慢性不具合に対する手当てを混同してはいけません。集中力が落ちて起きた事故なんてところまで視野を拡張すると、それはまた身心のアクセル問題と関連してきますが、怪我そのものは該当箇所の手当てで解決します。急性病の治療があまりに切れ味が良くて、分かりやすいために私達はそれを全く違う理屈によって引き起こされる慢性不具合にまで拡張しようとするのですね。ここに大きな間違いがあるのです。とはいえ、局所に対する対処は、一定時間、症状を緩和したり時間稼ぎをする猶予を私達に与えてくれることは事実ですので、慢性不具合に対する治療は、現代治療や局所治療によって時間を稼ぎつつ、本人の行動変容によって不具合の根本原因に取り組む、そういう姿勢が大切となります。
次回は、この仕組みで花粉症について説明をしたいと思います。