Vol.33 令和4年、今年の秋は一気に冬へ|泉州統合クリニック|高石市 漢方内科・婦人科・心療内科・精神科・内科・専門外来(ヨガ・食養生・鍼灸・アーユルヴェーダ)

院長ブログ

Vol.33 令和4年、今年の秋は一気に冬へ

2022年10月20日

令和四年秋の健康天気概況

今年の夏は暑かったですね。いつもの年より暑さを感じる夏でしたので、夏場は鬱熱に注意ということでアナウンスをしていました。9月中盤の台風の頃に一度、急に寒くなり、秋の鬱熱による頭痛、消化不良、湿疹が増加しましたが、今年は思ったより強くなく、むしろ急な冷え込みによる身体への影響が目立つ年となりました。この影響で拙書「365日の養生のすすめ」の冬の乾燥が早くも見られるようになっています。夏は「冷ます」ことによって軽減していた頭痛は逆に「暖める」なければ良くならない状態となり、頭痛薬として処方されていたものが急に効かなくなるということも起きてきます。なにか「あれ?」と思うことがあったら下記を参考にしつつ、早めに相談をするようにしてください。

 

「湿熱」の夏から一気に「寒」の冬へ

人間の体は、変化を敏感に感じ取るという仕組みを持っています。逆に変化がなく一定の状態が続くときには感度が落ちます。ソファでうとうとしていたのに、ベッドに移動したら眠くないなんてこと経験してませんか?せっかく暖かくなっていたのに、急に寒い部屋に移動したり、布団が温まっていなかったら、体は寒さを感知して体を温めるようにスイッチが入ります。そうすると体はスリープから活動に切り替わるため眠気が飛ぶんですね。同様に、いろんな考え事をしていても頭の中に変化が多数現れるので眠気は飛びます。抑揚のない単調なスピーチを聞いていたら、、、ですよね。

ともあれ、体は変化に対して追随しようと努力をするのです。その結果、様々な変化が現れます。今年は、暑かった夏から急に秋を通り越して冬になりましたね?こんな時は要注意なのです。

各所の不具合

腹痛:急激な寒さによって体は冬支度を始めました。そのため、体は変化するためのエネルギーを必要とします。そのエネルギーは消化して得なくてはなりません。胃腸に負荷がかかります。同時に寒さにより体が冷えると腸の動きは低下します。それにより消化力が低下をします。腸の機能低下により下痢もしくは便秘と腸の動きは不安定になります。

頭痛:夏の間は首筋を冷やせば頭痛は軽くなりました。また台風などの気圧の変化、雨も多かったので体内の水移動が多く、気圧変化や浮腫の頭痛も多くみられました。これらに対して熱には「黄連解毒湯」、水には「五苓散」が有効で、これらの処方が出された人も多かったと思います。ところが、9月後半から急にこの処方が効かなくなる、若しくは飲んだ方が具合が悪くてムカムカするなどの症状が出て、薬が合わないのでは?と感じるケースが出て来ました。それは「寒」の影響です。今度は真逆の対応が必要です。緩やかに気候が変化すれば、体は順応していくのですが、今年は急に気候が動いたので余力が無い人ほどついて行くことが出来ずに不調になり、頭痛に伴って嘔気があるなどの方が出ています。この場合、多少の処方があることでソフトランディングをアシストする事ができます。

湿疹:夏の発疹は熱を冷ませばかゆみがとれました。ところが、急に寒くなって湿疹は冬モード。寒さによる乾燥になりました。冷えた乾燥によるかゆみですので、冷ますとさらに悪化します。その理屈については拙書「体と心が整う 365日の養生のすすめ p140に詳しく書きましたので参考にしてみてくださいね。

鼻炎:冷えの鼻炎になりました。水鼻が間欠的にでます。鼻粘膜は乾きます。出てきた鼻水がつーっと伝うような鼻水が出やすくなります。しかし、これはアレルギーではないので、アレルギー薬では良くなりません。ご注意を。

関節痛:発赤を伴う腫れは、刺し込む痛みに変わります。痛みはあっても熱感は伴いませんので、冷やしてはだめです。暖めなければなりません。(ただし、炎症があって腫れているときは別ですので区別してくださいね。)

気分:消化力が低下することは、エネルギーの低下を意味します。体を動かし、思考を動かすエネルギーが低下しますので、気分は落ちます。これは体の体調変化によって起きた変化ですので、精神が原因ではありません。寒さの変動が一段落したら、一旦落ち着きます。ただ、これから冬至に向かいますので、基本的には下降傾向になります。

ソフトランディングのためのアシスト

以上書いてきたとおりですが、身心に体力の余裕があれば、この変化を吸収できますが、余力がない場合は影響を直接的に受けてしまいます。漢方治療はソフトランディングできるような介入をすることになります。不具合がある方はご相談くださいね。

 

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