院長ブログ
Vol.22 めまい警報発令中
2022年06月06日
5月後半から急に「眩暈」のひとが増えています。いつもの年には無い現象ですので、警報を発令します。
眩暈の原因
眩暈を起こす原因には複数ありますが、大きく分けて器質的原因と機能的原因に分けられます。器質的原因には、耳石の移動、脳腫瘍、突然の聴力障害などがあり、これらに対しては西洋医学的治療や手技があり一定の効果を上げます。一般的に症状は強く、起きていられないぐらいの症状が出ることもしばしばです。
今増えている眩暈について
さて、ここ最近、急激に増えているのは、機能的原因による眩暈です。機能的原因は内因性(自分の身体に関係するもの)と外因性(環境の影響)がありますが、今回の眩暈激増の背景には内因、外因の両方が関係していると思われます。それぞれについて説明していきますね。
【内因】
- 運動不足による運動神経(小脳機能)の低下、筋力低下によるもの。コロナにより外出、運動の機会が減り、運動量が減ることから起きた身体機能の低下。
- 甘味の過食、夜遅くの食事による消化力の低下が結果として気力、集中力、体力の低下を引き起こします。
- 起立性低血圧と言われたりしますが、急な動きをしたときの血圧変動により引き起こされる眩暈もあります。直接的には血圧変動が関係していますが、態勢変化に対応する神経反射の機能が低下していることが原因です。神経伝達速度は加齢により低下しますが、気力、集中力も影響します。疲れすぎていると症状は悪化します。
- 気力、体力の消耗による集中力低下も眩暈の原因となります。これは、大病をした後、非常に体力を消耗するようなことをした後、許容量を超えた仕事をして精神力を消耗したときなどにおきます。漢方では「虚労」と言います。
- 感情の大幅な変化も眩暈を引き起こします。激しく怒ったときなどの後にふらっとすることがありますが、感情爆発は眩暈の原因をつくります。
【外因】
- 天候による気圧の急激な変化、気温の変化、湿度の変化に伴って眩暈が起きることがあります。特に気圧の急激な変化は全身の細胞の浮腫を引き起こしますから、内耳にも影響を及ぼします。気温の変化は体力を消耗させることで影響を及ぼします。湿度によって耳と鼻を繋ぐ管が詰まり易くなりますが、これも影響があります。
- 過剰な心的ストレスも眩暈の原因となりますが、自分以外のものが原因となって内因である気力体力を消耗します。外因に入れましたが、
内因の問題をとおして眩暈に影響します。
内因、外因と分けて眩暈の原因を説明して来ましたが、今回、急激に増えた眩暈には、3年間続いたコロナ対応からくる、体力の低下が大いに影響しています。それに加えて、4月以降の環境変化に伴う消耗、それとここ最近の急な天候変動が影響していると思われます。
十分な睡眠、食事量を減らして胃腸の負担を軽くすることが目下必要なことです。そして、少し調子が戻ってきたら、足腰を鍛えるなど、身体機能のあげる工夫をしましょう。自分自身の身体の器を大きくしておけば少々の変動にも耐えることが出来ます。
なお、自力回復が難しい時には、漢方薬の出番です。消耗が酷い場合には、漢方的には「血」を補いますし、気圧変動の影響が大きければ、「水」の調整をします。消化力が低下しての消耗ならば胃腸を整える処方を工夫して対処しますが、しっかりとお話しをしてどのような経緯で今に至ったかをしっかり主治医と相談してから適切な対処をしていきましょうね。
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