院長ブログ
Vol.20. 気分失速注意報発令中
2022年05月12日
気分失速注意報
GWが終わりましたが、体調に変わりはありませんか?今週「気分失速注意報」を発令中です。
4月初旬は少しフワフワしながらもスタートし、まあまあの調子で過ごしていたけれどもGW明けから、気分が乗らない、怠い、朝起きられないというなんとなく抑鬱気分になったが、理由が分からない。という方が増えています。これは一体どう言うことなのでしょうか?このなんとなく抑鬱気分の延長上に五月病があります。
さて、この何となく抑鬱気分が生じる過程について少し説明いたしましょう。
【なんとなく抑鬱気分の構造】
①新年度の変化(←気合いを入れ、普段より高い緊張度で乗り切った)
②身心の特徴
-
- 消化力低下傾向
- 律儀な性格(損な性格)
- 自己犠牲(=自己虐待)
③先行き不安(このままで大丈夫?体と心が持つかな?)
④雨の日の増加
①+②+③+④=なんとなく抑鬱
となります。
①新年度に新しい環境に移った人もいれば、環境は変わらないけれども人の入れ替えがあって普段と流れが違うなどの変化に対して普段以上の気力を使います。その分、身心のエネルギーを消耗します。この身心のエネルギーを生み出すのは「消化力(脾胃)」です。消化力が安定していて、エネルギー&栄養が満ち足りている人は、元気ですから、病院に来ることはありません。一方で病院には体調不良の人が来ますから、病院で診療をしていると大抵殆どの人には消化力低下が見られます。身心を動かすエンジン(消化力)の出力が小さくても、適当に流してやり過ごすことが出来る人は、これまた病院に来ることはありません。病院に来るのは、律儀な性格で、自分を犠牲にしても人の仕事を必要以上に抱え込んだり、自分の世話をどこかに棚上げしておいて人の世話をする人。このような人が、普段以上に負荷が増えると体調不良を抱えます。そして本人もうすうす気がついているので、先行きに不安を覚えるのですね。このような状況にダメを押すように雨が増えます。雨が増えると気圧変化によって引き起こされる細胞膜浸透圧の変化によって体が浮腫みやすくなり、重くなります。①〜③で既に消耗しているところに体がリアルに重くなるわけですから、朝、起きるのが辛くなるはずですよね。
【なとなく抑鬱への対応】
①〜④のうち、まず手をつけられるところから対応してみるのが良いです。④の浮腫による怠さについては、汗をかくことが重要です。とくに体内の血液循環を良くして汗を出すのが良いですね。「心拍数が上がる運動」をして汗をかくのがいちばん良い解決法です。外に出る元気が出ないときは、風呂にはいって汗を出すのも良いですね。次に手をつけるべきは「消化力」を整えること。甘い物、果物、乳製品、酒を控えて、温かい物を食べること、足湯をしっかりすること(「養生のキホン」チラシ参照)をもう一度、しっかりやってみて下さい。消化力を上げる事ができます。
汗+消化力保護
をやった上で、まだ不調が残る場合は、自らにかかっているストレスを少し冷静に分析しましょう。身体に強い負担をかけるようなストレスがかかると、お腹がぱーんと張って来ます。「かえる腹」という状態です。夕方、仕事を終えて帰宅したときにお腹の張りを自覚し、ベルトの穴がひとつ分きつくなったりしたことはありませんか?ストレス負荷がキャパシティー限界に近づいたサインです。息を詰めて肩をいからせて一日を過ごすと「かえる腹」になります。この「かえる腹」状態が継続すると体調不良に陥りやすくなります。仕事を減らすことが可能ならば、本格的な不調に陥る前に、負荷を減らすことを考えて下さい。負荷が減らせないならば、身心の体力向上し、器を大きくすることが必要です。今まで以上に養生し、自分の体を労りまた、鍛えることです。つまり、忙しくなればなるほど、自分の為の時間をしっかり確保し、しっかり体を動かす時間を作り、しっかり休む、そうしないと身心は消耗し壊れます。
【漢方薬の役割】
このような時、漢方薬は役に立つのでしょうか?はい、役には立ちますが、一時的に漢方薬で調子を安定させても、①〜④状況になんら変更が無い場合は、先々もっと大きな不調となって帰ってきます。そういう意味では、漢方薬は自分自身が変容するまでの「時間稼ぎ」と考えると良いでしょう。ずっと薬に頼っていると、頼るのが当たり前になり、本当に必要なときに使えるお薬が無くなってしまいます。
GW明け、皆さん、身心の状態はいかがですか?少し立ち止まって自分を観察してみましょう。