Vol.17 鼻緩む春、春は養生の決算日(なぜ花粉症になるの?)|泉州統合クリニック|高石市 漢方内科・婦人科・心療内科・精神科・内科・専門外来(ヨガ・食養生・鍼灸・アーユルヴェーダ)

院長ブログ

Vol.17 鼻緩む春、春は養生の決算日(なぜ花粉症になるの?)

2022年02月26日

実は

冬〜春にかけての鼻炎には二種類あります。一つは、冷えによる鼻炎、もう一つは緩みによる鼻炎。え?何を言ってるの?と言う声が聞こえてきそうですが、これから説明していきますね。

 

二種類の鼻炎

①寒・凍りの鼻炎

②温・緩みの鼻炎

 

(寒・凍りの鼻炎)Vol.16で少し説明しましたが、体が冷えすぎている状態、例えて言えば土がカチンコチンに凍った状態で土の上に水を撒いてみましょう。水は染みこんで行くことはなく、表面を流れます。もし、その土が暖まってふかふかになっていれば、水は土の中に染みこんで行きますね。寒さで鼻腔が冷えているとき、これと似た事が起きています。鼻粘膜の表面を水がつーっと流れるように鼻水が出ます。このような時、体を温めれば症状は落ち着きます。つまり、アレルギーではありません。正確には血管運動性鼻炎と言いって生理現象の一つです。ですので、この症状にならないためには、冷えない体作りが大事だということになります。つまり消化力を維持し、筋力を蓄えることと、冷える状況下に長時間居ない、保温を心掛けるということです。

 

(温・緩みの鼻炎)こちらが、いわゆる花粉症になります。中医学的な説明をすると、これは「風温邪による鼻炎」という説明もなされますが、もう少し体感的に分かる説明をしたいとおもいます。

 

大事なポイントを示します。

  • 穴を閉じる力(緩まないでいられる力)
  • 気を上げない安定性(拳に力が入らない状態)
  • 身体に余剰を溜めない(過剰な飲食、過剰な動き、過剰な情動を避ける))

 

【穴を閉じる】身体の各部所を稼働させるにはエネルギーを必要とします。毛穴の開け閉め、鼻粘膜の開け閉め、肛門の開け閉め、穴という穴を閉めておくには力が必要です。つまり、穴は解放されているのがデフォルトというわけですね。ですから、気絶すると脱糞しますし、うたた寝をするとよだれが出ますし、急な血圧低下を伴うプレショックの時には冷や汗が出ます。これは、緊急時のエレベーターが最寄り階に停止してドアを開くのに似ています。背筋をぴんと伸ばして、気を引き締めてみて下さい。肛門に力が入って、毛穴が閉じますよね。この状態を維持するには、一定以上の体力が必要です。その基礎となるのが消化力(脾胃)です。消化機能をそこなう行動が自分自身の許容量を超えると急速に消化力は低下します。(過食、飲酒、不眠、冷え・・「養生のキホン」参照のこと)https://www.longwood-senshu-cl.com/cms/wp-content/uploads/%E9%A4%8A%E7%94%9F%E3%81%AE%E3%82%AD%E3%83%9B%E3%83%B3.pdf

 

【気を上げない安定性】 普段から消耗しているひと(過食、飲酒、不眠、過緊張)つまり身を削って頑張っている人は、常に心のアクセルを踏んでいます。血気盛んと言いますが、心のアクセルを踏み続けると、血圧は上昇し(眼圧上がり)、目が赤くなり、こめかみの血管が浮き出てきて、時に頭痛します。このような「血気盛ん」な状態は、身体に上昇気流をつくります。(頭熱く、足寒い状態)この上昇気流に乗って水が上昇して鼻から雨を降らせます。漢方の用語では「陰虚火旺」といいますが、この時、鼻炎という症状を呈します。

普段から冷え症(そもそも体力が無くて十分に身体を温められない人)で足元が冷える人は、身体は必死で温めようとします。足腰が弱くて筋力が無い人は、上半身の筋肉も必死で熱をつくるので肩がこって来ます。この状態もやはり熱気が上に上がってきまして、鼻炎になります。

気を上げない安定性とは、このような状態をつくらないことを意味します。

 

【過剰を溜めない】 食べ過ぎって単に食べた見た目の量が多いことを言うのではないのです。今日の今の自分の消化力と比べてそれを越えたら過食。それ以下なら適量。あと、眠りに着く前に胃から食べ物が無くなっている状態が望ましい。夜遅くにお腹を空かせて一気に食べた翌朝の胃もたれは誰でも経験したことがあるでしょう。お腹が空かないのに時間で食べてしまうのも過食です。一度、お腹が空くまで待ってみましょう。一日三食に縛られる必要はありません。まあ、夜20時を過ぎて帰宅したらその日は、味噌汁かスープ程度にしてさっさと風呂に入って寝ましょうね。翌朝まで胃の中に物が残っている日、鼻水が多く出ますよ。

過剰って言うのは、食べ物だけではありません。過剰な「感情」も余分になり、そして身体に熱を起こします。言いたいのに言えないことを胸にたくさん溜めておくこともまた、余剰を生み、それは熱となって水を伴って鼻に上昇します。もっとも、強すぎる感情が爆発したときは鼻を通り越して目まで行ってしまうので目から鼻に水が降ってきますけれどね。

 

こうやって見ていくと、早く寝て、食は少なめ、お酒は飲まずに、穏やかだけど、言う事は言って溜め込まず、毎日身体を動かしている。なんだか宮澤賢治の生活みたいですね。そう、そのような過ごし方が実は花粉症を克服するもっとも近道なのです。ただ、やれば、いつでも誰でも出来る事って、いつまでもやらないものです。一念発起して身体を変えてみませんか?世界が変わりますよ。

その様な訳で、花粉症の季節となりましたが、花粉症の季節は一年の養生の総決算の日。養生が出来ていた人は花粉症を感じずに鼻歌がでて、不養生で一年を過ごした人は、鼻水が出る季節です。皆さんは今年は何点でしたか?

 

 

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