院長ブログ
Vol.9 寒さと痛み、寒さと抑鬱の関係
2021年11月30日
11月下旬から、急に寒くなりましたね。身体×心体=行動のお話しをしてきましたが、今回は「今、身体に起きている事」についてお話ししたいと思います。
今回のポイントは「寒気」です。寒気は身体に様々な影響を及ぼします。一枚の画にしましたので、まずは下記をご覧下さい。
キーワード:「寒気」「冬至」「足湯」
この2週間ほど、「眩暈」「頭痛」「動悸」「肩凝り」と言った上半身の症状に加えて、「腹痛」、「下痢」といった下半身の症状、そして「不眠」、「夜間尿」が増えています。一見、これらの症状は無関係に見えますが、全て「冷え」で繫がっています。
足元が冷える→内臓が冷える→消化力が低下する(栄養摂取が低下する)→気血の循環低下→身体各所の気虚+血虚に伴う冷え→身体・心体の冷え、活動力・気力の低下となり抑鬱へと展開していきます。また、冷えに伴う水滞(浮腫)は頭痛を引き起こし、消化力の停滞による腹痛や便秘、不意の下痢になります。
このように無防備に「寒気」を身に受ける事が様々な不具合に繫がって行き、最終的には身体から始まった不調が抑鬱症状にまで至るのです。(普段精神的に問題が無い人で、上記のような症状から気分変調を来してきた方は、精神の問題より身体の不具合の割合が高いと考えられます、)また、一般的に気分不調がある方は、普段から異常食欲があったり、食欲の低下があったり、運動不足があったりしますので、消化力、筋力は低下傾向にあります。そこに「寒気」が加わることで抑鬱症状は悪化していく傾向になります。
また、これに加えて、3週間先に冬至を迎えますが、冬至は一年で最も昼が短い日ですね。つまり「陽」が最も少なくなる日です。冬至に向かう間、一日毎に日が短くなって行きますが、これは陽気の低下、つまり気分の低下に繫がることを意味します。ゆえに、冬至までは陽気減少の方向に自然環境が動いていますので、これに逆らって無理に元気を出そうとすることは、返って体調の不良を引き起こす原因になるということになります。このことから、「クリスマスまでは無理に大はしゃぎしないこと」が養生のポイントになりますね。街は一ヶ月も前から賑やかになり、そわそわしますが、その空気に飲み込まれないように注意しましょう。そう、車の運転でカーブに入る時にはスピードを落とし、カーブから出る時にアクセルを踏みますよね?それと同じように、特に普段から冷えがある人は冬至まではセーブして冬至を過ぎたら少しずつアクセルを踏み込む。そのような過ごし方をお薦めします。
ここまで、冷えに伴う体調不良についてお話ししてきましたが、対策について詳しく触れませんでしたね。最も有効なのは43℃の「足湯」です。膝から下を43℃のお湯につけて内蔵を温めます。心臓から出た血液は温かいですが、足先に行って戻ってくるときには冷えた静脈血となって内臓を冷やしながら心臓に戻って来ます。足湯は、足先から戻ってくる血液をしっかり温めることで内臓を温める方法です。全身浴ではだめですか?とよく聞かれますが、全身浴では、43℃のお風呂はやや熱すぎます。また、全身が温まることで末梢の血管が開いてしまい、循環動態が変わってしまうことから、内臓を集中的に温める事が出来なくなります。ですから、服を着た状態で、足湯をすることが重要なのです。また、足湯は、じんわりと汗が出てくるまで行いましょう。もし、あなたが冷えすぎていたならば、43℃の足湯で15分ほど足をお湯につけていても汗が出ないかも知れません。その時は、時間を伸ばすか温度を上げるかして下さい。ジワッと汗がでるまで温まれば終了です。夕方のお風呂と一緒に足湯をしていた人は、汗がでたなら服をとって汗を流し、サッと湯船に身体をつけて出て下さい。特に月経痛が普段から強い方、眩暈を起こしやすい方は可能ならば朝夕2回、足湯をするとなお良いです。足湯は全身浴と切り離しても良いです。
しっかりと足湯をするだけで、上記の症状はかなり軽減しますので、心当たりのある方は是非、「足湯」をするようにして下さい。
なお、大建中湯という漢方処方がありますが、これも足湯と薬能の方向性は一緒です。また、相乗効果もあります。イレウス(腸閉塞)を起こしやすい方、手術後(開腹手術時にお腹が冷えてしまうから、術後に腸が停止するため、大建中湯が有効)に大建中湯を内服している方も足湯をすることでより、効果が引き出せるようになります。
冬至を越えて1月の大寒まで、寒い日が続きます。是非、毎日の習慣として足湯を定着させましょう。
なお、
に「養生のキホン」チラシをアップしてあります。足湯を含めた養生についてのチラシです。まだ、始めていない人は、これを実行するところから始めましょう。