Vol.61 なぜ「養生ヨガ」なのか―医療の限界点― (自動車故障の例え話)|泉州統合クリニック|高石市 漢方内科・婦人科・心療内科・精神科・内科・専門外来(ヨガ・食養生・鍼灸・アーユルヴェーダ)

院長ブログ

Vol.61 なぜ「養生ヨガ」なのか ―医療の限界点― (自動車故障の例え話)

2023年08月19日

自動車の運転中に異音!あなたならどうしますか?

①修理工場に持っていく

②自分で車を点検す

③無視して運転を続ける

よっぽど車に詳しくて修理の腕に自信があるひとで無ければ①を選ぶ人が大多数でしょう。

さて、修理工場に愛車を入庫させたならば、修理工は車を点検していきます。エンジンかな?ギアボックスかな?マフラーかな?タイヤかな?

どうやら、タイヤを繋いでいるシャフトに問題があったようです。「お客さん、珍しいのですがタイヤを繋ぐシャフトがゆがんでいました。今回は交換までしなくても何とかなりそう。ゆがみを調整しておきました。あと、エンジンオイルも汚れていたので交換してあります。」「有り難うございました。」あなたは、修理工に礼を行って運転して帰りました。

1ヶ月後、再び車の調子が変です。あなたは再び修理工場を訪れました。前回と同様に修理工は車を点検します。「変だなあ。またシャフトがゆがんでいる。今度はエンジンにも問題がある、、。」首をかしげる修理工。「前回、しっかり修理したのに、おかしいなあ。」怪訝な顔をする修理工にあなたは聞きます。「なにか、ありましたか?」「いや、前回キチンと修理してあるのに、また同じ箇所に故障が起きるなんて、ちょっと考えられないんですよ。失礼ですが、、どんな運転をされていますか?路面状態が悪い場所でエンジンを高出力回転させて運転なさったりしていませんか?」何か心当たりがあるのか、ハッとした顔をしたあなた。「実は、自分の畑を耕すのにこの車の後に鍬繋げて畑を行ったり来たりしてまして、、」「なるほど、、そうでしたか、、。どうりで舗装道路だったらかかるはずの無い強い力が車体にかかるわけですね、、。今回は、シャフトの交換が必要でした。エンジンの燃焼室も少し傷んでいましたので、エンジン室の保護剤を添加しておきました。ひとまず今回はこれで大丈夫ですが、その使い方をしていては、また故障します。車の使い方について、少し考えて頂けませんか?これではあなたの車も可哀想です。

さて、ここで車は体、修理工は医者を意味します。体調不良があって病院を受診すると医者は体を診て、手当てをします。これは言わば漢方薬のようなものです。漢方薬でひとまず症状は改善しますが、あなたが養生しないで体に負荷をかけ続けていたならば、またすぐに不調になります。そう、いくら修理工である医者が頑張っても、当事者であるあなたが、自ら不調に追い込むような生き方をしていたのでは、不調になるのはあたりまえです。体調不良の無限ループから脱出するためには、自分の思考の癖や拘りに目を向け、「なぜ、そこ拘るのか?どうして毎回同じ考え方に陥るのだろうか?ある事柄について、つい目を背けて行動してしまうのはなぜ?」と自らに問い、掘り下げて行く事、そして自らの体が発しているサインを観察してひとつひとつ意図的に行動選択することが必要です。この車の主は、乗用車を使って畑仕事をしていましたが、なぜそこで自動車を使う必要があったのでしょうか?他にも方法はあったのでは?若しくは、横着しないで自分の手で畑を耕すことはできないのでしょうか?そこを問わなければ、早晩、車は動かなくなることでしょう。

修理工場から教習所へ(=病院から養生ヨガへ)

さて、修理工からの指摘を受け、当面の修理を済ませたあなたは、思い切って教習所で特別講習を受けることを決めました。車の特性(体の特性)を良く知り、自分の運転の癖(思考の癖)を明らかにして、自分の車と仲良くしたいと考えたからです。「養生ヨガ」はまさに教習所にあたります。自動車と違って人間の体は乗り換えが出来ません。生まれたときに与えられた体と付き合わなければなりません。より安心で安全な人生を送る為には自らの体と仲良くする必要があります。

修理工である漢方医も万能ではありません。ある程度までは体の不調を整える事は出来ますが、不調(故障?)が一線を越えてしまったら、対症療法をすることしか出来なくなります。良い医者は、この修理工のように不具合の内容を精査し、その背景にある患者さん本人の生活習慣、行動の癖を読み取り、適切な処置を施した後に、「なぜそうなるのか説明して、本人が自分の人生を生きていけるように助言する」べきであると私は考えています。

泉州統合クリニックの治療方針

当院では、自分自身の不調の意味を知って頂くことに力を注いでいます。初診では、身体所見と問診結果を突き合わせて不調に至るまでの物語を明らかにし、板書等を使って説明していきます。「養生のキホン」チラシと漢方薬を使いながらご自身の体の変化を体験して頂き、体側からのアプローチがひととおり終了した段階で、「養生ヨガ」教室に案内しております。そして「養生ヨガ」教室では、オンラインの個人セッション、その後のヨガクラスで、ヨガとアーユルヴェーダの実践を通して自己観察し、心身への気付き、自己理解を深めていきます。時に症状として、時に身体感覚や思考、感情として現れる身体からのメッセージに耳を傾け、自分が本当に大切にしたいことはなんなのか、自分自身に寄り添い生きることをサポートします。

養生ヨガ

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