Vol.56 「不調はなぜ起きる」(シリーズ第2回:「自得」を求めて)|泉州統合クリニック|高石市 漢方内科・婦人科・心療内科・精神科・内科・専門外来(ヨガ・食養生・鍼灸・アーユルヴェーダ)

院長ブログ

Vol.56 「不調はなぜ起きる」(シリーズ第2回:「自得」を求めて)

2023年07月08日

自虐の無限ループ

前回は身心をダムに例えて、様々な不調が起きる仕組みを説明しました。水面下にあるときには分からない湖底の村という自分自身の姿。しかし、それは意識的に自分自身を観察しないと見えない、むしろ見たくない姿でもあります。それゆえ、体調不良は自分自身を確認することができる貴重な機会とも言えます。そんななか、貴重な自分自身からのメッセージをつい私達は不快なものとして封印し、見えなくしようとします。ダムの水の消費と供給の話で言えば、不具合をとおして今の状態を確認してそれを受けれて「行動」するのと、今の状態否定して、見ないようにし続ける、見えないように押さえつけ続けるのを比較すると、どちらが消費が少ないでしょう。例えば、夜遅くに帰宅、空腹に耐えられずに過食。寝ようとしてもお腹が張っているし、直前まで作業していた仕事の内容と明日の事が頭から離れずに目がさえているから睡眠薬を内服する。翌朝は、まだ胃の中に残った感覚があってお腹が空かないけれど、食べておかないとお昼まで食べられないからとパンと果物を口に放り込んで、慌てて列車に乗る。この時、体に起きていることは、

 

 

夜遅くまでの仕事→頭が熱を持っている(オーバーヒート)

空腹に対しての過食→消化力に過剰な負荷

止まらぬ思考→思考力の消費

過食後の消化→消化力への負荷

 

これらによって、入ってくる気の量が減少し、気血消費が倍増して急速に水位減少。減少した水位は本来肌で感じていて、これはまずいぞ!と「不安」が発動されるが、それを睡眠薬で封じる。→この封じる作業にも気を消費する。

翌朝以降、、、はもう書く必要は無いですね。

 

何重にも胃腸を痛めつけ、過剰な気力の消耗が行われています。これでは元気になるはずはありませんよね。でも、「仕方ないんだ、こうしないと生活が出来ないのだから」と呟きながら、重い体を引きずりながら生活を続けて行く。そうしていくうちに、より強い不安を体が発していく訳です。(不安エネルギーが湖底の村の不調の塔を上に上に伸ばしていきます。つまり不調が発露し易くなる)「このままではまずいぞ、まずいぞ」と思いは先行するものの(この思考作業は更なる消耗となる)、行動することがないので、不調が加速していくわけです。本当は、今のありのままの自分自身を冷静に確認して、色んな言い訳をして仕方ないと諦めて生活しているけれど、それでいいの?と問いかける必要があるのに。

自業自得

先に書いたように、不調を抱えて生活している時、私達は自分自身の体は当然自分の思い通り動くものだと勝手に思い込んでいます。そして、自分自身の五感つかって感じたり、意図的に体を動かしたりすることをせず、殆どの体に関する作業を「無意識」に行っています。しかし、急な不具合を目にしてこれを何とかしたいと思う、つまり「自得」を願うわけですが、「自得」を得る為の「業」が無いわけです。

私は最近、こんなことを言っています。

 

身体を使い、五感を使って行為する事が「行」と為る

「行」は重ねることで「業」となり

自ら為した「業」は自らに還る

これを「自業自得」と称す

 

つまり、自らの体に対してなにか変化をつくりたければ、意図的な行為、行動を起こす必要がある。頭のなかで不安と闘っていても、一切「自得」は帰って来ない。

 

実は「自業自得」という言葉は良いも悪いもない、事実を述べているのです。先に述べた自虐の無限ループという「業」を重ねていくことが「病」という結果として自得となる。これはどちらかというと負のイメージですね。逆に、自分は方に力を入れて仕事をしてしまうから、一定時間毎に席を外して、「意識的に呼吸」してみる。これも立派な「行」で、積み重ねると肩凝りは軽減するし、血圧だって下がっていきます。今、自分の体は、不調だらけ。でも、意識的に呼吸し、意識的に背筋を伸ばして、意識的に歩いて見る。これ、英語でマインドフルネスなんていいますけれども全て「行」なんですね。だから、「行」を重ねていけば、100%自得として帰って来るのは当然のことと言えるでしょう。世に言う、「引き寄せの法則」なんてありますけど、これキッチリとした言葉を使うなら「自業自得」ですよね。

 

「養生のキホン」チラシは「行」のはじめの一歩

 

そんなわけで、不調となって受診される方々はおしなべて負の自業自得をしていて、自らの体から目を背けてます。生きている間、体はいちばん身近なバディーです。呼吸だけでもいい、足の裏を意識して歩くだけでもいい、そして最初の一ヶ月だけは、何がともあれ「養生のキホン」チラシを「行」として行ってみる、という行動を取って欲しいなと思います。100%結果は還ってきますから。

 

次回は、行動を始めたあと、変化はどう言う風にやってくるかについて書きますね。
第3回:https://www.longwood-senshu-cl.com/blog/entry644.html

(次回に続く)

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